【レビュー】アビスに眠るのは真実の自分か?傑作「メイド イン アビス」【評価】★★★★★
「メイド イン アビス」、漫画が原作の劇場版クオリティTVアニメ!
まず、クオリティが劇場版並みである。
劇場版並みのクオリティという謳い文句の作品はたくさんあるが、「メイド・イン・アビス」程その言葉にふさわしい作品はないだろう。
テレビアニメと劇場アニメで特に大きな差が出るのが背景描写だと思うが、メイドインアビスの背景は特に美しい!自然溢れる大穴といる摩訶不思議な舞台設定を生態系すら感じさせる、超緻密かつロマンチックなタッチで描いていて、そこでまず普通のアニメとは違うんだぞ、という凄みを感じさせる。
アマゾンプライムビデオで観られる。
物語について
ストーリーは巨大な大穴の中へ少女と少年型ロボが、母を訪ねて探検に行く物語だ。
上へ、上と上昇していく作品は多い中、穴に潜って、ひたすら下降していくというのは非常に面白い。
宮﨑駿作品は、上昇するシーンのカタルシスに定評がある。その気持ちよさや、世界中の人々に愛される理由でもある。
何年か前には「天元突破グレンラガン」という地下から宇宙まで飛び出していく作品があった。
これもまた開放感の塊というべき作品であった。
上昇には一種の精神的開放感があるのである。
では下降には何があるのだろうか?
上昇が自分からの開放とするならば、下降には自分の内面への到達のような側面があると私は思う。
大穴アビスの上部は実に平和である。
のどかな描写と絵本のようなかわいいキャラクターに視聴者は完全に油断させられる。
だがしかし、中へ中へと潜るに連れ、危険で残虐な面が見えてくる。
「可愛いキャラクターがこんなひどい目に。。」という描写がたくさん出てきて、度肝を抜かれる。
特徴的なものの一つに「上昇負荷」という概念がある。
深く潜れば、潜るほど、上へ戻る際に身体に負担がかかるのだ。
第2層や3層レベルでの負荷は「気持ちが悪くなる」程度なので大したことはないのだが、第6層から戻る際には「人間の体を保てなくなり」、7層から戻ろうとすると「確実な死」という絶望的な状況が待っている。
深淵たるアビスが人の心と仮定するならば、これは自分の内面を覗き過ぎてしまった者が、元に戻れなくなってしまうことを表しているのかもしれない。
だがしかし、冒険者たちはアビスに魅了されてやまない。
まるで哲学者たちが人の心を解き明かすことに執心したように。
深淵へ深淵へと潜っていく行為はとても怖い、だがとても謎に満ち、ミステリアスで魅力的なのだ。
我らが住む現実の世界では、今でも海洋の95%は未知のままであるという。母なる海は謎に満ちている。
アビスという未知の大穴に、母を求めて旅に行くというテーマは、自らの内面を辿り、そのルーツ(母)を目指すということへのメタファーなのかもしれない。
新しい仲間、「ナナチ」と合流!アビスの深淵にあるものとは!?
テレビアニメ版は第1シーズンが終わったばかりだ。
ウサギみたいな姿で可愛らしい。「ナナチ」が冒険の仲間に加わったところ。
いつ第2シーズンが始まるのかは分からないが、旅の果てに待ち受けているものは何なのか?とても楽しみである。
余談ではあるが、イラストを描いてみたら結構楽しかった。