幼児雑誌の付録に漂う芸術とは?
こんにちは。森ノ湖です。
自慢じゃないが最近とても忙しい。
仕事を2つ掛け持ち、2人の子供の育児、自分の勉強(英語、プログラミング、ビジネス)…
それなのに…
それなのに…
ついつい時間を費やしてしまうことがある。
睡眠時間を削っている毎日、「どうやったら一日を27時間にできるか?」等と現実逃避なことを考えたりしているのにやってしまうこととは何か…?
それが幼児雑誌の付録だ!
息子は、今3歳。可愛いお年頃。
彼が喜ぶところを想像するとついつい買ってしまう…、というのは建前で、実際のところ、たまにこういうパズル的なことをして頭を使いたいだけなんだと思う。
たくさんの番号の振られたパーツがあって、それをただただ黙々と説明書の指示通りに作っていく。
多少のストレスを感じながら、無心で1-2時間作業した後に、何かができている。
これが何とも快感なのである!
プラモデルでも良いんじゃない?という人もいるだろう。
プラモもいいかもしれない。
ただ、プラモだと、息子のためという大義名分がないから妻に言いづらいし、値段も高いし、なにより機械製品ぽくって手でコネコネ作っている感じが足りないのである。雑誌の付録は紙なので、折ったり切ったり、貼ったりと作業が直感的で楽しいのだ。
あとは美大を卒業してしまったせいでついた無駄な美術の知識が足かせとなる。「プラモをちゃんと作るとなると、ニッパーで切ったり、バリを取ったり、スミ入れしたり…みたいな作業が必要となる」という知識が下手にあるせいで、本格的に作らないことに妙な罪悪感があって面倒くさいのだ。(お前が面倒くさい)
雑誌の付録でそんなことをする人はいない…ですよね?その気楽さが良い。
一般の方にももう知られつつあると思うのだが、最近の幼児雑誌の付録はすごく凝っている。幼児では絶対作れない複雑さである。
「幼稚園」という雑誌の付録がその筆頭で毎回とんでもない付録を付けてくる。「セブン銀行のATM」がその中でもいちばん有名で、ネットでも大きな話題となった。
「子供が普段見るものだけど、触らせてもらえないもの」をコンセプトに作っているそうだ。なるほど、たしかにこれは良いところに目を付けている。
どの付録も「こんなところに目をつけるんだ」と驚くアイデアだ。担当者は街なかを歩くときに、些細なものにまで常に目を配っているに違いない。
僕が最近作ったものだと、以下のようなものがある。どれも面白かった。
ワニワニパニック
今では萎びた旅館とかでしか見ない、あの伝説のゲーム、ワニワニパニックを自宅で遊べるようになる付録。
ドラえもんの恐竜の映画が公開予定だった(コロナで延期になったけど)ので、ドラえもんのスキンにも変更できるという優れもの。
セブンティーンアイスクリームの自販機
つい先日作った付録。恐ろしく巨大なアイス自販機を作れます。セブンティーンアイスクリームも最近あんまり見ないですね。高速のとサービスエリアとかで売っていたイメージ。
商品となるアイスクリームは自販機に入り切らないほどのバリエーション。余裕で10種類以上。自販機のラインナップを自分で変更できる、カスタマイズ可能な点が面白い付録です。
両方ともなかなかの力作の付録で…
そして、芸術的だった。
とくになにが芸術的かと言うと、その「儚さ」である。
この超複雑な付録、制作時間は1-2時間かかる。
さらに言えば、この付録を毎月の締切に追われ企画し、徹夜でデザインし、血反吐を吐きながら制作した大人たちの労力はその何千倍にも及ぶだろう。大人たちの力の総力戦だ。
そしてできたら、3歳の息子に披露するのだが、、彼が熱中して遊ぶのもせいぜい1-2時間。あとはだんだんと飽きて、終いには破壊される。
大人達の数千時間が一瞬で飽きられ、崩壊する。
だが、それで良いのである。一生懸命作ったからと言って、子供に遊んでもらえなかったら本末転倒だ。
トーマス・マンの名言に
『命というものは、儚いからこそ、尊く、厳かに美しいのだ。』
というものがある。
「幼児雑誌の付録」ほど、この言葉がふさわしいものはない。
「毎月の締切に追われ企画したに違いない」と書いたが、「セブンティーンアイスクリームの自販機」はさすがにめんどかったのか、去年の付録を使いまわししているようである。
だが、それで良い。さすがに毎月このクオリティのものを考えて、一ヶ月だけの販売にするのはもったいない。
また来年の子どもたちにも遊んでほしいと思う。
話題となった「セブン銀行のATM」の付録も来月、再収録されるそうだ。
僕は前回入手できなかったので、今回こそ入手できるかな。。